本ページでは、株式会社が配当を行う際に気をつけなければならない分配可能額について、その要点をまとめています。
下表をご覧ください。左側の欄の各項目の合計額から右側の欄の各項目の合計額を控除した差額が、分配可能額になります(会社法461条、446条)。実務でよく出てくる項目については、文字を太文字に、背景を黄色にしています。
前期末日時点におけるその他利益剰余金の金額 | 当期期首から配当時までの間における、配当財産の帳簿価額の総額 |
前期末日時点におけるその他資本剰余金の金額 | 当期期首から配当時までの間において、剰余金の配当の影響により増加した準備金の増加額 |
当期期首から配当時までの間に資本金の額の減少をした場合(代わりに準備金を増額するケースを除く)における、当該減少額 | 当期期首から配当時までの間に剰余金の額の減少をした場合(代わりに資本金や準備金を増額するケースに限る)における、当該減少額 |
当期期首から配当時までの間に準備金の額の減少をした場合(代わりに資本金を増額するケースを除く)における、当該減少額 | 当期期首から配当時までの間に自己株式を取得した場合における、当該自己株式の対価の額 |
臨時決算を行った場合における、当期期首から臨時決算日までの期間における利益の額 | 臨時決算を行った場合における、当期期首から臨時決算日までの期間における損失の額 |
臨時決算を行った場合において当期期首から臨時決算日までの間に自己株式を処分した場合における、当該自己株式の対価の額 | 差額(分配可能額) |
※分配可能額の算定は、今回の配当を行った時点(=配当直後)で行います。そのため、上記の"配当財産の帳簿価額の総額"には今回の配当を含めて算定します。また、今回の配当で準備金を増加させるときは、その増加額を上記の"準備金の増加額"に含めて算定します。
通常の決算日と異なる日を臨時決算日と定め、その日までの決算を臨時に行うことが会社法441条で認められています。
配当をしたときは、資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、配当の10%相当額を準備金に積み立てなければなりません(会社法445条4項、会社計算規則22条)。
その他利益剰余金を原資とした配当の場合、利益準備金を積み立てます。
反対に、その他資本剰余金を原資とした配当の場合、資本準備金を積み立てます。
配当をすると純資産の部の金額が300万円を下回ることになるときは、配当ができないことになっています(会社法458条)。
資本金が300万円未満の会社は、特に注意が必要になります。