本ページでは、利用価値が著しく低下している宅地の評価について、その要点をまとめています。
次のようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。
ただし、路線価、固定資産税評価額または倍率が、利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には斟酌しません。
※「道路より高い位置にある宅地または低い位置にある宅地」は、既に宅地になっているため、宅地造成費控除を適用することはできません。その代わりとして、利用価値が著しく低下している宅地として10%の評価減等の適用が可能か、検討をすることになります。
上述のタックスアンサーのとおり、路線価等に、利用価値を著しく低下させている減額要因が既に織り込まれているケースでは、この10%の評価減の適用を受けることはできません。
この織り込まれているか否かの判定が、この評価減の適用を検討する上でのポイントになります。
平成25年3月11日に国税不服審判所の出した裁決(東裁(諸)平24第172号)では、"評価対象地の地盤面と道路の路面との高低差"は"同一の路線に接する一連の宅地に共通している地勢の宅地の地盤面と道路の路面との高低差"と同程度であり、著しい高低差があるとはいえず、路線価自体に高低差が織り込まれているとして、この評価減の適用を認めませんでした。
評価対象地の道路面との高低差
⇒ 約2.7m~約3.9m
付近にある宅地の道路面との高低差
1m未満の土地 3件
1m以上2m未満の土地 1件
2m以上3m未満の土地 1件
3m以上の土地 2件
付近にある駐車場の道路面との高低差
⇒ 最大で約4.5m
他の裁決(東裁(諸) 平29第34号)でも言えるのですが、国税不服審判所では、付近の土地の中で評価対象地より高低差の大きい土地が1つでもあると、この評価減の適用を認めない傾向があると思われます。