本ページでは、相続税申告で算定する遺産の評価額について、その要点をまとめています。
令和4年4月19日に最高裁判所の出した判決(最高裁令和2年(行ヒ)第283号)から、相続税における評価額の算定方法について、次の考え方を読み取ることができます。
『相続税における評価額は、評価対象財産の相続開始時点における客観的な交換価値としての時価と一致しているのが理想であるが、実務上の負担も考慮する必要があるので、財産評価基本通達による評価が現実的な評価方法である』、としています(ただし、客観的な交換価値としての時価を上回るときは✕)。
そして、『"合理的な理由"があるケースに限り、財産評価基本通達以外の評価方法が認められる』、ともしています。
つまり、相続税の実務では、財産評価基本通達による評価方法が原則的な評価方法になります。
その他の評価方法はあくまで例外的な評価方法であり、その他の方法で評価するときは"合理的な理由"を明確に説明できなければならないことになります。
この章で特別の定めのあるものを除くほか、相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。
財産の評価については、次による。(平3課評2-4外改正)
(1) 評価単位
財産の価額は、第2章以下に定める評価単位ごとに評価する。
(2) 時価の意義
財産の価額は、時価によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。
(3) 財産の評価
財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。
この通達に評価方法の定めのない財産の価額は、この通達に定める評価方法に準じて評価する。
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。