住居系小規模宅地の要件


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被相続人等の居住の用に供されていた自宅敷地に対して、小規模宅地の特例を適用するための要件について、まとめています(2022年12月作成)。


全ケース共通の適用要件

  • 民法第725条に定める親族が、相続か遺贈により、自宅敷地を取得した。
  • 被相続人と親族との間で、家賃や地代の収受は無かった(家賃や地代が少額であった場合を含む)。

親族の範囲

民法第725条に定める親族とは、配偶者、六親等内の血族、三親等内の姻族のことです。

 

被相続人から見た血族とは

  • ①被相続人と血の繋がりのある人、②被相続人と養子縁組をした人、③"被相続人の血族"と養子縁組をした人、が該当します。
  • 血族関係である例:兄 ⇔ 弟の孫(四親等の血族)
  • 血族関係である例:孫 ⇔ 祖父母の兄弟の孫(六親等の血族)

被相続人から見た姻族とは

  • ①"被相続人の配偶者"の血族、②"被相続人の血族"の配偶者、が該当します。
  • 姻族関係である例:夫 ⇔ 妻の姉妹の子(妻から見て血族であるため。三親等の姻族)
  • 姻族関係である例:親 ⇔ 子の配偶者(血族である子の配偶者であるため。一親等の姻族)
  • 姻族関係である例:先妻の子 ⇔ 後妻(血族である父の配偶者であるため。一親等の姻族)
  • 姻族関係ではない例:夫 ⇔ 妻の姉妹の配偶者(妻から見て血族ではないため)
  • 姻族関係ではない例:親 ⇔ 子の配偶者の親(姻族になるのは子の配偶者まで)
  • 姻族関係ではない例:先妻の子 ⇔ 後妻の子(姻族になるのは後妻まで)

ポイント

  • 民法に定める相続権を持つ相続人(配偶者 & 子 & 親 & 兄弟姉妹 等)だけが、特例の対象者ではありません。
  • 生前贈与で自宅敷地を取得したときは、特例の適用を受けることはできません(相続時精算課税のときも同様です)。
  • 自宅建物の所有者が被相続人であった場合の他、その所有者が被相続人の親族であった場合でも、特例の対象になります。

配偶者が取得するケース

 

配偶者が自宅敷地を取得するケースでは、共通要件の他に、次の要件を満たす必要があります。

 

適用要件

亡くなる直前において、被相続人(又は被相続人の同一生計親族)が自宅敷地の上の建物で暮らしていた。

老人ホーム等に入居していた場合

亡くなる直前において被相続人が老人ホーム等に入居していた場合でも、次の全ての条件を満たしていたのであれば、特例の適用を受けることができます。

  1. 被相続人は、入居する前に要介護認定、要支援認定、障害支援区分等の認定を受けていた。
  2. 入居後、自宅を賃貸したり事業の用に供することを、新たにしてはいなかった。
  3. 入居後、自宅を同一生計親族以外の人(例外あり)の居住の用に供することを、新たにしてはいなかった。

なお、下記の"被相続人と同居していた親族が取得するケース"や"持ち家のない親族が取得するケース"でも同様になります。

 

ポイント

  • 配偶者が取得後に住まなくても、特例の適用を受けることができます。
  • 申告期限前に売却をしても、特例の適用を受けることができます。

被相続人と同居していた親族が取得するケース

 

被相続人と同居していた親族が自宅敷地を取得するケースでは、共通要件の他に、次の要件を満たす必要があります。

 

適用要件

  • 亡くなる直前において、その親族が、被相続人と、自宅敷地の上の建物で暮らしていた。
  • その親族が、申告期限までその自宅敷地の上の建物で暮らし続けた。
  • 申告期限までその自宅敷地を売却しなかった。

ポイント

  • マンションの場合、同じ号室で同居していたケースに限られます。
  • 二世帯住宅の敷地の場合でも、区分所有登記がされていない住宅であれば、敷地全体に対して特例の適用を受けることができます。

持ち家のない親族が取得するケース

 

持ち家のない親族が自宅敷地を取得するケースでは、共通要件の他に、次の要件を満たす必要があります。

 

適用要件

  • 亡くなる直前において、被相続人が自宅敷地の上の建物で暮らしていた。
  • 相続人の中に、被相続人と同居をしていた、民法に定める相続権を持つ相続人はいなかった。
  • 相続人の中に、配偶者はいなかった。
  • 亡くなった日から過去3年の間、その親族は自身の持ち家(親族の配偶者等の持ち家を含む)で暮らしたことはなかった。
  • 亡くなった日にその親族が暮らしていた建物は、過去に自身の持ち家だったことはない。
  • 申告期限までその自宅敷地を売却しなかった。
  • その親族は「居住制限納税義務者又は非居住制限納税義務者のうち、日本国籍を有しない者」に該当しない。

ポイント

  • その親族が取得後に住まなくても、特例の適用を受けることができます。
  • 亡くなった日から過去3年の間において、その親族が、"被相続人が亡くなる直前に暮らしていた建物"で暮らしていた時期があったとしても、上記4つ目の要件には抵触しません。 

同一生計親族が取得するケース

 

同一生計親族が自宅敷地を取得するケースでは、共通要件の他に、次の要件を満たす必要があります。

 

適用要件

  • 亡くなる直前において、その親族が自宅敷地の上の建物で暮らしていた。
  • その親族が、申告期限までその建物で暮らし続けた。
  • 申告期限までその自宅敷地を売却しなかった。

ポイント

このケースだけ、被相続人自身が暮らしていなくても、特例の適用を受けることができます。

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