相続権の無い人が、遺言により、"築年数の経っている被相続人の自宅"を譲り受けるときに検討したいこと


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本ページでは、相続権の無い人が遺言により"築年数の経っている被相続人の自宅"を譲り受ける場合において、相続税や所得税等を節税するために検討しておきたいポイントについて、簡単にまとめています(2023年6月21日更新)。


説明の前提

  • Aさんは、知り合いの夫婦(以下「Bさん夫妻」とします)に対し、Aさん自身の住んでいる不動産(以下「自宅不動産」とします)等の遺産を、遺言により譲ります。
  • 自宅不動産は、昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建ての家屋とその敷地です。
  • Bさん夫妻は、Aさんの遺産について民法上の相続権を持っていません。
  • Bさん夫妻は既に自宅を所有しており、Aさんの他界後に、Aさんの自宅不動産は第三者に売却されます。

申告時に適用したい税務上の特例

 

所得税の確定申告に関する特例

空き家の3000万円控除の特例(空き家を売却したときの売却利益が大幅に下がり、所得税等の節税になる)

 

相続税の申告に関する特例

小規模宅地等の特例(自宅等の敷地の評価額が大幅に下がり、相続税の節税になる)

空き家の3000万円控除のポイント①

 

最初に、Aさんが遺言をする際に検討をしておきたいポイントについて説明します。

 

実は、Aさんの作る遺言書の内容が「空き家の3000万円控除の特例」の適用要件を満たしていないと、Bさん夫妻はこの特例を使うことができません。

 

具体的には、遺言書の内容が各遺産ごとに取得者が定められているのではなく、すべての遺産を包括して遺贈する形になっていなければなりません

 

Aさんは、Bさん夫妻の手元に残るお金をできるだけ増やすため、遺言書の内容について慎重に検討しておきたいところです。

空き家の3000万円控除のポイント②

 

次に、Aさんの他界後に、Bさん夫妻が自宅不動産を売却する際に検討をしておきたいポイントについて説明します。

 

「空き家の3000万円控除の特例」の適用要件は、遺言書の内容だけではありません。

 

その他の要件も満たすため、Bさん夫妻は、次の二点をじっくりと検討しておきたいところです。

  • 家屋を取り壊してから売却するのか、それとも取り壊さないで売却をするのか
  • 自宅不動産をいつ売却するのか

※令和6年以降に空き家を売却する場合、買主側が所定の取り壊し等を行うケースでも、この特例が使えます。

小規模宅地等の特例のポイント

 

最後に、Aさんの他界後に、Bさん夫妻が相続税申告の際に検討をしておきたいポイントについて触れます。

 

Bさん夫妻がAさんの親族にあたる場合、「小規模宅地等の特例」を使える可能性があります。

 

小規模宅地等の特例についても、自宅不動産を売却する時期が重要なポイントの一つです

 

両特例の要件を同時に満たす時期に不動産を売却できると、節税効果は最も高くなります。

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